因果応報を感じたとき@家庭ちゃんねる

155 :151:2018/10/24(水) 21:17:30
俺が断る可能性を考えなかったのか聞いたが、
ありえないと姉は即答したそうだ。
しかも住み込むにも関わらず荷物無しだと変だから、
演出するために、姉は古着を旅行カバンに詰めて彼女に持たせたらしい。
なんで最初に真実を言わなかったのか聞いたら、これも姉の入れ知恵。

「真実を話すと結婚しか選択肢がないとわかるでしょ。
弟のことだから、そうなると長所をアピールしない。
『こんな短所だらけの男だけどそれでもいいか』って言うに決まってる。
だから、逃げ道があるように見せかけて、不甲斐ないとフラれる、
という危機感を持たせなきゃ。もっとも、真実を聞かれたら隠す必要ないけどね」
ちくしょう、全部姉の掌の上かよ。

誰が『素敵な夫』なのやら、
姉にここまでお膳立てしてもらわなければ結婚できない・・・
最後まで俺は甲斐性なしだ。だが、ここで求婚しなければ、
甲斐性なしの上塗りになるだけだな。

俺は求婚し、彼女はOKした。

姉に電話して報告。
「700万円のお礼は、充分すぎるよ」
「あれをお礼と受け取ってくれたのね。親切な割にひねくれてるから、
『また俺が人助けするのか』とうんざりされたらどうしようと思った」
「今となっては、俺が彼女に助けられているよ、とくに家の中ではな」お互い、笑い転げた。
姉よ、幼いころ、よく喧嘩したが、
互いに大人になるにつれて自然と仲がよくなっていったな。
それでも、こんなギブ・アンド・テイクをするとは思いもしなかったよ。

甥を助けるのに一役買い、
姉夫婦が見返りを求めない人助けをし、
女の子の諦めたはずの命を救い、
そして俺には諦めたはずの幸せな結婚生活・・・
その対価として700万円は、あまりにも安かった。


駄長文読んでくれてありがとう。

103KB
続きを読む

名前: E-mail(省略可)